2011年7月13日水曜日

仕事のこと

自分は高齢者介護の仕事をしております。
一口に『介護』といっても様々なサービス形態があるのですが、自分はいわゆる「施設サービス」を提供する、介護保険施設に従事しています。
自分の職場はその中でも、認知症高齢者の専門棟であります。
毎日の認知症高齢者との関わりは、それ相当の負担感があります。
とくにコミュニケーションの不自由さは双方の大きな課題であり、ケアをより一層困難なものにしてしまいます。
介護サービスを提供する側のプロ意識として、自らのストレスコントロールやメンタルヘルスを考えることは、より良質なサービスを保つためにとても大事なことだと思っています。
ということで普段、一旦家に帰ったら、意識的に仕事の事はなるべく考えないようにしています。


しかし今日は何度思い返しても、嬉しく感じることがありました。


施設サービスを利用される方々は、何らかの理由により長年住まわれた地域での生活を諦めなければならない状況にあります。
加齢や疾病により心身の機能が低下し、ご自身での生活を営めなくなったとき、身寄りの親類がいなかったり、また必要なサービスが受けられない状況下(ご家族での介護の限界を迎えたり、経済的問題や地域のサービス量などの社会的要因も)にある方々は、私たちのような「施設」に身を置かねばなりません。
この時、ご自分の親を施設に預ける形となる家族の思いは、非常に複雑なものです。
介護保険施行から10年の時を経てもまだ、一昔前の「姥捨て山」のイメージを払拭できない現状がそこにあるのです。
「親を捨てる」という自責の念にかられ、その後ろめたさから施設入所を機に、ご家族の関係が疎遠になるケースも珍しくありません。


今年当事業所で100歳を迎えられた方(仮称:Aさん)がおられます
おからだは比較的お元気ですが、認知症がかなり進行しており、ご家族のお顔も判別がつかない状況です。
ご家族とも先の説明の通り、やや疎遠な状態が続いてました。
しかしこの100歳を機に次第とご面会の頻度が増すなど、良好なご家族との関係に戻ってきておりました。
これを受けて、自分どもの職場スタッフには「Aさんをご自宅に連れて行ってあげたい」という強い思いが常々ありました。
その思いが今日、わずか30分足らずの滞在でしたが、念願叶ったのです。


普段は無為に時間を過ごし、反応に乏しいAさんですが、住み慣れた地域に戻り、ご家族に迎えられ、ご自宅に上がり、ご近所の方の来客があったことで、本当に豊かな表情や仕草を見せて下さいました。
迎え入れた下さったご家族の皆さまも温かく受け入れて下さり、みなさんが一生懸命Aさんに話しかけ、終始和やかな雰囲気に包まれ、最後は名残惜しそうにAさんを見送っておられました。
その場に居合わせられたことを、本当に嬉しく思いました。
日常業務の負担感を一掃する、介護という仕事の醍醐味を実感できた瞬間でした。
何度思い返しても「ニヤっ」と涙腺が緩みます。


賃金や勤務形態など待遇は決して良くありませんが、やっぱりこの仕事、ヤメラレマセン。
人と人との繋がり。
それぞれの生活史。
それを支えることは決して楽ではありませんが、そこにこそかけがえのない価値があるのだと思います。


今日の1曲。
Jimmy Cliff / Many Rivers To Cross



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